ポイズンの島とは

マーシャル諸島共和国

マーシャル諸島は中部太平洋、大まかに言うとグアムとハワイのちょうど中ほどに位置しています。

そして、何と言っても広大な海に散りばめられた様に点々と広がる島が集まった島嶼国「太平洋の真珠の首飾り」と言われるほどの美しさを誇った国なのです。

 

人口約5万3千人ほどの独立国家マーシャル諸島共和国は、もちろん国連加盟国でもあります。

そして、私達の国日本とはとても密接な関係があるということを、ぜひ知ってもらいたいと思います。

1920年から45年にかけての約25年間日本が統治していた時代があり、当時日本の教育を受けていたことから日本語が話せる高齢者の人達が少なくありませんし、日本の名前を、男性には「いさお、ひろし、イチロー」など、

女性にも「なみこ、たみこ はるこ」と言う名の人がいます。

また、苗字にモモタローと付けてしまった家族や、チュータローという苗字にしてしまった人もいます。

今でも首都マジュロにはチュータローと言う名の会社や、そのまま家名を店の名前にした「モモタローストアー」というお店があるくらいです。

しかし、本当はこれらの名残は統治と言う名の支配、そして戦争がもたらしたものでもあるのです。

水爆ブラボー

1945年8月、日本は広島にウラン原爆、長崎には、プルトニウム原爆を投下され終戦を迎えました。

そして翌年に、もうアメリカはマーシャル諸島ビキニ環礁で計67回にも及ぶ原爆、水爆の実験を開始します。

 

とりわけ…54年3月1日の「水爆ブラボー」は、史上最大の爆弾として広島型の1,000倍もの威力で、マーシャルの各島の住民のみならず、地球規模で降下した放射線物質が、世界中に被害をもたらしました。

そして、日本のマグロ漁船「第五福竜丸」が被曝し「ビキニ事件」として知られるようになりました。

日本は2重に被曝し、また、これで日本は「世界で唯一の被爆国」ではなくなり、マーシャル共和国も同じ被爆国となったのです。

子どもの頃の脱毛した写真を今でも部屋に飾るネルジェさん。 (写真:島田 興生)
子どもの頃の脱毛した写真を今でも部屋に飾るネルジェさん。 (写真:島田 興生)

戦後70年、そしてビキニ水爆実験ブラボーから61年目をむかえ、私達日本は、アメリカの「核の傘」のもとで安全保障体制を敷き、平和利用(?)のもと世界第3位の原発立国になり、そして福島の原発事故が発生しました。 これまで「ビキニ事件」は知られていても、その後ろ側、南の島で起きた悲惨な出来事を知ろうとしなかった日本。

私達の国の平和は、自国の被ばく者と共に太平洋の島々で未だ被ばく障害などで苦しんでいる人たちの犠牲の上に成り立っている ということを認識するべき はないのでしょうか?


※ポイズンとは英語で「毒」という意味ですが、

マーシャルの人達は一般的な毒(例:生物の毒)とは別の意味として、放射能のことをポイズンと言っています。


ビキニふくしまプロジェクトとは 

フォトジャーナリスト島田興生さんの「福島第一原発を風化させるな、ビキニ水爆実験を忘れるな」という熱い気持ちを受け、2012年発足。島田さんのスライドトーク、そこから生まれた写真絵本「ふるさとにかえりたい~リミヨおばあちゃんとヒバクの島」などの朗読のイベントは北海道から沖縄まで全国各地にて、これまで約40回開催している。